5Gネットワークの展開が本格化してきた。これに伴い、5G向けテストソリューションのニーズも高まっている。モバイルネットワークのテストには様々な機器が必要となる。信号を発生させる「シグナルジェネレーター」や、信号の周波数分析を行う「スペクトラムアナライザー」、無線通信の品質を測定する「RF(無線)スキャナー」などの電気計測器が代表的だ。日本電気計測器工業会(JEMIMA)によると、2018年度以降、電気計測器の市場は右肩上がり。4G/LTEの導入が本格化した2012年にモバイル計測市場は一度ピークを迎えたとする調査結果もあり、モバイルネットワークがおよそ10年ごとに世代交代を繰り返すことを踏まえると、5Gのテスト市場はまさにこれから全盛期を迎えるタイミングだと言えよう。オープン化、テストは難しい?4G/LTEと比べて5Gではいくつもの進化が起こった。テストソリューションもそれに合わせて進化している。代表的な変化が無線アクセスネットワーク(RAN)のオープン化だ。従来、RANの基地局装置は1社のメガベンダーから提供されるケースが一般的だった。5GではRANのオープン化を推進する「O-RAN Alliance」によりインターフェースの統一・標準化が進んだ。これにより、集約基地局(CU)、分散局(DU)、無線送受信部(RU)等に機能分離することが可能になり、それぞれのユニットを別々のベンダーで構成可能になっている。4G/LTEにおいても無線の送受信部(RRH)と制御部(BBU)に分離していたが、インターフェースの統一・標準化が不十分で、実態としては単一ベンダーで構成する必要があった。マルチベンダー構成は5Gでついに現実的になったと言えよう。そのため、キーサイト・テクノロジーやVIAVIソリューションズなどのテストソリューションベンダーは、マルチベンダー対応の製品を打ち出している。マルチベンダー構成が可能になったことで、機器調達や機能選択の自由度が向上した一方、テストにおける複雑性は増した。CU/DU/RUの機能やパフォーマンスの個別検査、各ユニットの相互接続性の検査、そしてRAN全体での検査がそれぞれ必要になっている。そこで、VIAVIソリューションズでは各ユニットを試験する「CU-Sim」「DU-Sim」「RU-Sim」を提供している。このソリューションの特徴は、他のユニットを“模擬”できる機能を有していること。手元にCUだけが納品されているといった場合は往々にしてある。そうした場合でも、CUに対して他ベンダーのRUが接続したケースなどを疑似的に再現することで、相互接続試験が可能になる(図表1)。「サービス稼働後に不具合が起こった際、障害発生個所を切り分けるためにも活用されている」とVIAVIソリューションズの岡部真弘氏は説明する。
図表1 VIAVIソリューションズのキャリアネットワーク向けテストのポートフォリオ(画像クリックで拡大)
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