専用のスタイラスペンで液晶パネルをなぞるように線を描くことで、デジタルながらアナログ感覚でイラスト制作ができる 「液晶ペンタブレット (以下、液タブ) 」 。
液タブは液晶パネルを搭載するため、画面を搭載しない一般的なペンタブレット (通称 「板タブ」 ) よりも高額になりやすく、人気メーカーの製品だと10万円を超えてしまうものも。
しかし、その半額以下の約4〜5万円で購入できる液タブがある。XP-Penが販売する 「Artist 15.6 Pro」 だ。
今回、XP-Penから本製品を提供いただき、実際に使ってみることができた。今回筆者はMacBook AirやMacBook Proと一緒に製品を使ってみたので、同じようにMacで液タブを使おうと思っている方は、ぜひ参考にしていただければと思う。
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製品寸法 | 443 x 280 x 12.6 mm |
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有効エリア | 344.16 x 193.59 mm |
厚さ | 11 mm (最薄) |
ショートカットキー | 8 |
ローラーホイール | 1 |
ペン | バッテリー不要のスタイラスペン |
筆圧 | 8192レベル |
傾斜 | 60度 |
レポートレート | ≥200 RPS |
画面解像度 | 1920 x 1080 ピクセル |
表示色域 | 88%NTSC、120%sRGB |
解像度 | 5080 LPI |
視角 | 178° |
入力デバイス | USB |
供給電圧 | DC 5V |
読取高さ | 10mm |
精度 | 0.25mm (中央) |
色 | ブラック+レッドダイヤル |
「XP-Pen Artist 15.6 Pro」 は15.6インチの大画面を搭載した液晶ペンタブレットだ。
本体サイズは443×280×12.6mmで、おなじ15.6インチの画面を搭載したノートPCと同等あるいはもう少し大きなサイズ感になっている。イラストを描くには十分な大きさだが、デスクの大きさによっては狭く感じる可能性もあるため、寸法には是非ご注意いただきたい。
ディスプレイの駆動形式はIPSで、画面解像度は1,920×1,080ピクセル、視野角は178°。広い視野角のおかげでどんな角度でも変わらない色味で描くことが可能。
応答速度は14msで、色再現領域はsRGB比で120%、88% NTSC、コントラスト比は1,000:1。IPSであることも相まって、画面はとても綺麗。
画面にはフルラミネート技術が採用されていて、ディスプレイとカバーガラスとの隙間が少なく光の反射を抑えられ、目に優しい設計になっている。さらにペン先と画面のギャップが少ないため、本当に画面に書き込んでいるような感覚で使用できるのもポイント。
ただしタッチ操作に非対応である点には、賛否両論が分かれそうなところ。画面タッチが有効だと間違って変な場所を触る→修正の流れが必要になるのが嫌なので、筆者個人としては画面タッチ機能は不要と思っているが、必要な方はこの点には注意していただきたい。
同梱するペンはXP-Pen PA2ペン。EMR(電磁誘導方式)を採用しているため充電せずに利用できる。筆圧検知は8,192段階と精密で、傾き検知にも対応していることに加えて、ペン先と画面の位置関係を調節できるキャリブレーション設定も用意されているので、上手く使えば快適に絵を描くことができるだろう。
ペンは専用ケースに収納されている。ケースには替え芯がいくつか用意されている。
本体左側には8個のショートカットキー、拡大・縮小用のリングホイールなどが用意されている。ショートカットキーは自身でカスタマイズできるので、頻繁に使うものをあてると良いだろう。
背面は滑りどめのシリコンが貼られている。机のうえに置いて作業する際に役立つ。
本製品にはスタンドが付属する。これを利用することで本体を20度ほど傾げることができるので、うまく活用していただきたい。なお、筆者はデスクに直置きで使用するタイプなのでスタンドは利用せず。
PCとの接続は、同梱ケーブルを本体右側にあるUSB Type-Cコネクタに挿すことで行う。ケーブルにはHDMI端子と2つのUSB-Type A端子が搭載されていて、これらをつなげることでPCとの接続を完了できる。PCに2つ以上のUSB-Type Aがない場合は、電源供給用の赤いUSB Type-Aコネクタを付属の電源アダプタに接続することで安定的に電力供給が可能だ。
「Artist 15.6 Pro」 を13インチMacBook Pro (M1, 2020) に接続して実際に使ってみた。
本製品をPCに接続するための3-in-1ケーブルは、USB Type-Cコネクタ側を 「Artist 15.6 Pro」 本体に挿し、残りのUSB-Type A端子×2とHDMI端子をPC側に接続して使用する。MacBook ProはUSB-Type AポートやHDMIポートがないため、今回はUSBハブを介して接続した。
実際に接続した様子
USB-Type A端子は黒色がPCとの接続用で、赤色が電源供給用。一応バスパワー駆動も可能だが、USB 3.0に対応したポートを経由する必要があるため、USB 3.0に対応したUSBハブを使うようにしよう。もし用意できない場合は、黒色のUSB-Type A端子をUSBハブ経由でMacBookに、赤色のUSB-Type A端子を付属してくるUSB電源に接続すればOKだ。
接続したら、まずはドライバのインストールやスタイラスペンの設定をする必要がある。公式サイトでクイックスタートガイドが配布されているので、その手順にしたがってインストール&設定を完了しよう。
ちなみに、macOS 10.14 Mojave以降をインストールしたMacでは、スタイラスペンを正しく動作させるためにセキュリティ設定に変更を加える必要がある。この手順についても公式サイトで案内されているため、詳しくはそちらを確認していただきたい。
青色に光っているのが電源ボタン
画面の電源は本体右側面に搭載されている。電源ボタンの横には画面の明るさを調整するボタンが搭載されていて、上側のボタンは画面を明るく、下側のボタンは画面を暗くできる。
本体を傾けた状態で作業したい場合には、付属のスタンドを使うとよい。スタンド自体は本体をただ上に乗せるだけの簡素なものだが、滑り止めなどがついていて本体がずり落ちてしまうことはない。
スタンドの傾斜角度を調整する機能はないのが個人的には不満点。また、素材や作りの問題なのか、スタンドの足を出す際に毎回 「パキッ」 と音が鳴ってしまい、ちょっぴり心臓に悪い。耐久性も少し心配なところだ。
スタイラスペンはバッテリーフリー構造になっていて、わざわざバッテリーを充電する必要がなくインスタントに使えるのがグッドポイント。重量も13.2gと軽く、使っているときの手への負担は比較的少なめ。
描き心地は、一般的な液タブのスタイラスペンとあまり変わらないように感じた。線がうまく描けなかったり、描いている部分と画面にズレがあるように感じたら、キャリブレーション設定を見直すだけでかなり改善できるので、自分好みに設定を変更して使っていただきたい。
なお、設定を変更してもまれに線がガタついてしまったり、色の濃淡が安定しなくなるという現象に遭遇することも。本製品を趣味レベルで使用する分には問題ないかもしれないが、お仕事などで本格的なイラスト制作をしている方には向かない可能性があるという点には注意だ。
ペンの側面にはブラシ・消しゴム切り替えボタンが搭載。手元でカチッと簡単にペン先を切り替えられてとても便利だ。隣のボタンは右クリックボタンになっている。
個人的に気に入ったのは端末左のリングホイールの存在。このパーツのおかげで直感的に拡大や縮小ができるのがとても便利で、細かい修正や絵の全体を見る際にスムーズに操作できてグッドだった。また、本体の発生熱もそれなりに抑えられているようで、長時間の使用にも耐えられる点は高く評価したいと思う。
「Artist 15.6 Pro」 は、PCと本体を3-in-1ケーブルで接続するだけで起動、スタイラスペンはバッテリーフリー構造で充電を気にせずいつでも気軽に使えるという便利さが特徴の液晶ペンタブレットだ。
スタイラスペンの認識性など高価な液タブには劣る部分があることから、プロの方がバリバリ仕事をするための相棒にはあまり適さない可能性はあるが、価格が約4〜5万円と安価なので、初めて液タブを使う方、機材にあまり費用をかけられない方に向いたモデルと言えるのではないだろうか。
ただし、MacBookなどUSB-Cポートしかない端末と組み合わせて使うには、USBハブを使う必要がある点には注意。給電に関しては付属の電源バッテリーを使うこともできるが、PCとの接続はUSB-Aポートを使う必要があるため、最低でも1ポートはUSB-Aポートが搭載されているPCと組み合わせての利用をオススメする。
「Artist 15.6 Pro」 はXP-Penの公式サイトで購入できるほか、Amazonや楽天市場などでも販売中だ。
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